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言葉の花びら

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父が燻らす煙草の煙

        「父上は、何ゆえに私を○○兵衛と呼びまするか!?」 (@_@)


施設でお世話になっている父ー。

最近は私が夕方に行くと眠っている時が多くなりました。


父が完全に目覚めるまでに暫く時間がかかりますが、夕飯の時刻が迫っているので、

私は声を掛けて、父が車いすへ移る手助けをします。


そして車椅子の父に私の顏を近づけて「私が誰だかわかる?」と私はいつも聞きます。


すると、最近の父は私の顏をじーと見つめ、うんうんと頷いてから

「○○兵衛だね」と、私の名前の子を、兵衛に変えて、ニッコリ笑います。


「あ~、何ゆえに私を男にしてしまったのでござるか~」と私が言うと

父は何だかとても嬉しそうにうんうんと、頷いていますo(^▽^)o


                   ★☆゚・:,。゚・:,。★☆

 

昨日は、父が唐突に「あんた、煙草を吸いたいんだけど」と言いました。


「え~、駄目よ。もう長い事吸わなくなったのだから我慢できるでしょ?」

「駄目駄目。それに、ここには置いてないから諦めてね」と私は言ってしまいました。


私は父が愛煙家であった事を完全に忘れていましたが、父は覚えていたようです。


★☆ 私が三人の子育てをしていた多忙な頃、子煩悩だった父は、

いつも孫を抱きに来て子守をしてくれました。


その当時は今ほど喫煙が問題視されていなかったので?、父は次女を膝に抱き

上の二人の孫の前で、煙草の煙を器用にドーナツ型にして吐き出していました。


「空気が動くと、ドーナツ型に出来ずに崩れてしまう」と父が言うので、

上の二人は息を殺すようにして、見事な型になるドーナツの煙を待ちました。


そして・・・。ドーナツ型が出来ると、二人は代わる代わる手を差し込んで遊んでいました。


★☆ 末っ子が小学生になると、父の膝の上は空席になって寂しそうになりました。


その上、私も子供たちの小学校のPTAの活動で多忙だったので、

泊りに来ていた父を残して私は学校へ行ってしまうことが多くなりました。


「いいから、いいから。こっちは適当な時間に帰るから、あんたは早く学校へ行きなさい」

私は父に見送られて出かけて行く日が多くなりました。


「じゃあね~。おじいちゃんありがとう。気を付けて帰ってね~。」

私はいつも父に思いを残して、バタバタと学校へ行ってしまいました。


家が留守の時、私はいつも子ども達より先に家に帰り着くように心がけていました。


父が帰ってしまった部屋にはいつも、父が”燻らしていた”=くゆらしていた=

煙草の香りが漂っていました。


し~んと静まり返った部屋に残る煙草の香り・・・。


私はそこに座っていると「あんたのお母さんが生きていたら、あんたがこうして忙しく

子育てや学校の事で飛び回っている姿を見たら、どんなに喜ぶことだろうか・・・」

そう言った父の言葉が、いつも浮かんできました。


父が燻らした煙草の香が残る家に戻ると、私は何故か、切なさを覚えるのでした


★☆ 末っ子が小学校三年生になった頃。


「明日はおじいちゃんが来るのね?」

そう言ったかと思うと、画用紙を短冊形に切って、<禁煙!!>

これを沢山書いて、玄関の上り口に、階段の下に、そうして部屋中に置くようになりました。


玄関で見た父が「これ、誰が書いたの?」 「と子ちゃんよ」 「参ったね~」と笑って

いつも煙草を吸う場所を探し回るようになりました。外で吸う日もありました。


寒くなってくると換気扇をつけて、顔を突き出すようにして煙草を吸っていた父。


昨日「煙草を吸いたい」と言った父の言葉で、子供たちが幼かった頃の、

おじいちゃんとの関わりが、私の心の中に懐かしく蘇ってきました


                                          ゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆    






4 Comments

とわ  

1. 無題

さくらさん、こんにちは。

さくらさんのお話はいつも優しくて、切なくて、そしてあたたかいです。

私の父は数年前に他界しましたが、日本にいる間は父の病院へ通っていました。
うまく話せないのに、私の顔を見ると「ありがとー」と言うんです。

さくらさんとお父様の煙草のお話を聞いて、
私も父と過ごした時間を思い出しました。

ありがとうございます(*^_^*)

2012/11/18 (Sun) 15:33 | EDIT | REPLY |   

さくら  

2. Re:心の翼を広げて・・・。

>とわさん
遥か彼方より、心の翼を広げて
コメントを送って下さってありがとう!!
とても嬉しく思っています。

とわさんの、お父様はもう、遠い美空に旅立たれてしまったのですね。
そして、とわさんのお父様も、よくお話が出来ないのに「ありがとう」と言って下さって・・・・。

私は「ありがとう」と言われると何だか切なくなります。
親は子供を慈しみ深く育ててきてくれたのですからね。
今、親の虐待が後を絶ちませんが、子どもは
本当に大切な未来の宝ものではないでしょうか。
親の愛情を一身に受けたなら、親が老いた時は
子どもが親を・・・・。
今、私も出来る事を出来るだけ、そう思っています。

とわさん、コメントを頂いて、本当に嬉しく思いました。
遥か彼方の、とわさんの素敵な世界に、私も心の翼を広げて飛んでいきますね!!

2012/11/18 (Sun) 18:29 | EDIT | REPLY |   

pari3  

3. 涙が。。

出て、しばらく止まりませんでした。
グスン。。

さくらさんとおとうさまのやりとりを見ているかのように 切なくて。。

お優しいのですね~。
それもご両親からの愛情をいっぱい受けたさくらさんだからなんですね。

私の父は9年前にあの世にいきました。
父も孫達の喜ぶ姿を見たくてよく遊びに来てたので さくらさんのおとうさまの姿が重なって 泣けてきちゃました。。

どうぞ、今を大事にしてあげて下さいね。

2012/11/21 (Wed) 11:20 | EDIT | REPLY |   

さくら  

4. Re:涙が。。

>pari3さん
お優しい言葉を下さってありがとうございます。
父は心の中で、いつも自分は旅立って行きたいと思ったいるようですから、時折、そんな言葉を口にします。
私と父は人の命には限りがある、そのことを今は、しっかりと、心に受け止めています。
そして父と共に、一日一日を大切にして命を紡いでいます。
本当に、温かなコメントを寄せて下さってありがとうございました。

2012/11/21 (Wed) 11:50 | EDIT | REPLY |   

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